LendUpに対するCFPBの支払い命令

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9月27日、米国の消費者金融保護局(CFPB)はオンラインレンダーLendUpを提供するFlurish社に対して、総額3.6百万ドル(約3.6億円)の罰金及び返還を行うことを命じました。また、同社はカリフォルニア州金融局との間では別途2.7百万ドル(約2.7億円)の和解金を支払うことで合意しています。

LendUpは米国の中でも、信用スコアの低い層に向けて、数万円という規模での貸出を実施しているオンラインレンダーです。米国では信用スコアが社会に根差した制度となっている中で、生涯を通じてスコアが低い人は25万ドル(約2,500万円)も高い金利等のコストを支払うものとの推計もあります。そのような中、LendUpは借り手に対して返済計画を通じて、実際に信用スコアが向上するような金融教育とプランを提供する、というモデルを提供しています。

元々、米国ではペイデイローンという、給与の前借サービスが低所得者層に向けて提供されています。その利率は、多くが早急に返済される性質ではあるものの、年率換算では数百パーセントに上ることもあります。

LendUpはそのサイトにおいて、平均が年率で339%であるところ、返済履歴が積み重なる中で、年率300%の金利が、徐々に年率36%にまで改善する可能性を示しています。

今般の処分でCFPBは、LendUpが上記のような融資サービスの特性を示すものの、居住している州でその商品の取り扱いがなかったり、実際には返済履歴が蓄積しても金利が改善しなかったこと、手数料も含めた金利コストが不明朗であったことなど、複数の不適切な取扱いがあったことを述べています。特にその中でも目立つのは、同社は信用スコアを改善することを2012年から特徴としてアピールしていた一方で、2014年2月までは少なくとも信用情報機関にローンに関する情報を報告していなかったことが挙げられます。

米国の課徴金制度における慣習でもありますが、Flurish社は今回の支払いにあたり、社としての過失があったかについては否定も肯定もせずに和解に応じた形となります。そして結果的に、借り手に対しては1.83百万ドルを5万人を超える借り手に返済すること、1.8百万ドルの制裁金をCFPBの基金に支払うこと等が命じられました。

同社のサイトではこの件を受けたプレスリリースの中で、今回の件は、シード段階で5人程度の従業員しかおらず、不適切だったとはいえ今とは異なる環境の頃に起きたこと、と述べています。それ対して現在は、10名を超えるコンプライアンス部門と6名の法務部門がおり、また、LendUpが2万人を超える借り手の信用力を向上させたことや、全米では40百万ドル(約40億円)もの金利面での節約をもたらした点も述べています。

ペイデイローン産業における既存のプレーヤーがCFPBによる規制強化を受ける中で、オンライン型として参入してきたLendUpはYコンビネータ-の卒業生として、Google VenturesやKPCBからも出資を受けるなどスタープレーヤーの一つとして見られてきました。体制整備が行われる前のことだったとはいえ、この件はその売りだと思われてきた特徴において、一定の悪質性が認められる慣行があった、ということになります。このような観点についてはFintechも伝統的なプレーヤーもイコールフッティングがなされるという、規制の(当たり前ではありますが)あり方を示したものとなります。

今週の読んでおくべきニュース

GSのレンディング事業に関する言及
最後に貸付ビジネスが10月には出てくるのではとの言及も

SECによるフィンテックのフォーラム
中継もあるとのこと

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