BrexitによるFintechへの楽観論が台頭|Fintech(フィンテック)研究所

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Brexitは、Fintechに関する議論において新しい論調が生まれてきました。


それは、このようなピンチ・急変の時こそ、ベンチャーの適応力が活かされるのではないか、というものです。

今週、テッククランチに寄稿された DueDil社の創業者Kimmelman氏の記事によれば、ロンドンは今後とも金融市場におけるリーダー的存在であり続ける中で、ベンチャーのような身軽な存在であれば、今回のような制度変化は恐れるに足らずと述べています。

同氏によれば、銀行のような大規模でレガシーコストの高い組織であれば変化に耐えられないかもしれないが、ベンチャーの限りなく柔軟なポジションであれば、特に問題は生じないだろう、と述べています。

また、Skype元COOのJackson氏による寄稿では、むしろこのような制度上の歪みが発生しているタイミングこそ、起業家にとってのチャンスであると述べています。重要な背景として、シングルパスポートに依存するような「中途半端(mediocre)な事業」に賭けている投資家は少ない、としています。

また、英国はこれまでは制度上、EUにおけるPSD2の内容等との平仄をあわせたルールメイキングを意識してきましたが、その制約がなくなったことで、今後はより先進的な制度整備を進める自由度を手に入れたことも述べています。サンドボックスなどの運営の前提が変わる中で、今後は欧州ではなく米国の制度との協調を進める選択肢も生まれたり、欧州ではなくアジアや米国などの、より才能のある人たちをビザにより呼び寄せることも可能になった、とのこと。そして、何より英語は世界の公用語である中で、今回の変化にも適応していくことに何ら心配はない、と述べています。

衝撃の投票結果から2週間経過した今、保守党の党首選に見られる混乱は続いています。しかしながら離脱交渉における内容も含めて、これだけの楽観論が現れ始めたのは、具体的なプロセスが少しずつ整理されてきた証左といえるのかもしれません。

今週の注目ニュース

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