米銀の逆襲:送金アプリの新展開

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今週、米国の銀行で時価総額トップを走るウェルズファーゴは投資家向け説明において、同行が目論む送金アプリの可能性について述べました。

銀行による、B2C向け送金インフラのユーザビリティ向上については、2011年に設立されたclearXchangeという会社がその展開の舞台となります。

同社は当初、ウェルズファーゴの他、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、キャピタル・ワンといった銀行連合によって共同出資されたベンチャーとして、様々な新しい送金に向けた取り組みを行っていました。そして、米国の銀行の口座を保有していれば、銀行の垣根を越えて、携帯電話番号やメールアドレスをユーザーの住所として、送金が可能となるプラットフォームを展開し、同一行内であればリアルタイムの決済を提供してきました。

2015年6月には、他行間でのリアルタイム決済も可能にしています。そして、別のリアルタイム送金プラットフォームEarly Warning社との統合を経て、2016年3月にバンク・オブ・アメリカなどが早速その活用を行っていることを明らかにするなど、その展開は注目されてきました。この決済手段は、普通にATMやデビットカードとして、POS端末において用いることができるため、Fintechプレーヤーの提供する他の手段に比して、ある種の王道的な存在感を持つものとなります。

そして、今回のウェルズファーゴによる説明の中では、同社も夏中をめどに、同様のサービスのローンチを考えていることが明らかになりました。そして、その使い勝手は「他の決済手段を使うべき理由なんか思いつかない」と、同社のCFOが発言するほどに、便利なものとされています。

現在、米国の若者の間ではVenmoが個人間送金の圧倒的なシェアを築いています。さすがに限りなく現金にも近い利便性を提供するとなると、米銀の逆襲が始まり、その牙城も崩れていくのかもしれません。

ウェルズファーゴ社は昔から、革新的なITへの取り組みにおいて有名な存在でした。それは同社の投資家向け資料を見ても明らかです。現在のFintechへの注目が集まる遥か昔から、テクノロジーは金融の中心であり、リテール顧客層に向けた良いサービスを提供するためにも、普段の向上が必要なことを物語っており、実際に出てくるアプリがどれくらいのUXを提供できるのか、この夏は注目されそうです。

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