米国で企業向けビッグデータ融資を行うKabbageは今週、135百万ドルの調達を行い、ユニコーンクラブ入りしたと報道されています。
ユニコーンクラブとは、2003年以降に創業し、評価額10億ドル以上のスタートアップ企業に与えられる称号です。この境地に到達する企業は、全スタートアップ企業のうちわずか0.7%であると言われています。
そして、Kabbageは2009年に設立された、主に中小企業向けのレンディングサービスです。今回行った資金調達により、ポストベースで10億ドルの時価総額があると評価がされたため、新たにユニコーンクラブ入りしたものと見られています。
同社は2008年のリーマンショック以後の、銀行が厳しい規制によって中小企業に資金を貸し出すのが難しい状況下に生まれ、積極的に中小企業に融資することで急激に発展した企業となります。
彼らの強みは、中小企業がAmazonやeBayなどで運営するネットショップの売上情報や顧客からのレビュー、トラフィックなどを解析し、日々の営業動向をメタデータとして集計、解析し、そのデータを担保として融資を行うという点にあります。
つまり、従来の与信情報に加え、ECでの商取引データを元に融資判断を行う、いわば新しいクレジット市場を創りだしたのです。
また、融資審査は人間が介在しない完全に自動化されたシステムであり、その結果、およそ10分というとても短い時間で融資可否の判断が行われます。
更に、2012年以降、配送業のUPSや会計ソフトのQuickbooks、Xeroなどとも連携を行い、借り手が自らのデータを積極的に提示することで、より融資を得られやすくする仕組みを追加していきました。
一方、数十人の優秀なデータサイエンティストによる技術開発の結果、同社は融資領域を追加しつつも、顧客獲得コストは下げることにも成功しています。累計で10億ドル以上を融資し、直近で年100百万ドル以上の収益を挙げられる見込みであるとしています。
なお、同社の名称(Kabbage)は、キャベツ(Cabbage)という単語をもじったものですが、2014年にKarrot(Carrot=にんじん)という名前の個人ローンも提供開始しています。
米国のクレジット市場はLending ClubやProsperなど、大規模の競合ベンチャーが相次いで現れていますが、今までに無いビッグデータの活用など、新たな切り口さえあれば切り込んでいけるだけの市場規模が存在するようです。