SoFiが10億ドルを調達|Fintech(フィンテック)研究所

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米国で学生ローンの借り換えサービスを提供するSoFiは1日、10億ドルという巨額の資金調達を行うことを発表しました。

SoFiは、学生の学費ローンの借り換えに強みを持つサービスです。米国の大学、特に私立の大学では年額数百万円にものぼる学費が課されるため、学生やその家族にとってはその財源が大きな課題となっています。

通常、学費の工面は、銀行や政府系機関(Sallie Maeなど)からの借入により賄われます。毎年2000万人の米国人が大学に通う中で、概ね60%が借入を行っているとされます。

そのような中、2011年に創業したSoFiはビッグデータにもとづいて、個別の借入をより有利な(低い)利率で行うことを可能としています。また、融資元も各大学の卒業生たちという、特徴的なモデルで拡大したビジネスとなっています。
また、同社は筆者の通っていたビジネススクールの同級生が共同創業した会社でもあり、当時の(高かった)学費を卒業生が貸す、というのはなんとも合理性のあるモデルだな、と感じています。

同社によれば、SoFiの借り手は平均的に約14,000ドル(約170万円)の節約を実現しているとのこと。

設立から累計で40億ドル(約4,800億円)の融資を行い、最近は学費ローンのみならず、住宅ローンや個人向けローンにも進出を始めています。

同社は、純粋な貸し手としてのプレゼンスの大きさもありますが、実際に借り手の経済的なステータスを向上させる戦略を打っている点も注目されます。
具体的には卒業後の進路に向けて、一対一のキャリアコーチングを提供し、面接の練習、丁寧な履歴書の作成などといった、返済原資となる「将来の給与」をより高くするためのサービスを、借り手に向けて提供しています。また、失業時には返済が猶予され、無理なく返済しきれるような保障プランも組まれています。

今回の10億ドルという調達の規模はFintech企業の単独ラウンドとしては、史上最大のものであるとのことです。リード投資家であるソフトバンクの、以前はその報酬の高さも話題となったアローラCOOは「SoFiはまさにフィンテック分野で変革者だ」と述べています。

金融業という、比較的多くの資金が必要な業界ゆえのサイズ感ではありますが、ここまで規模が大きくなってくると、今後は既存の金融機関からの反発が予測されます。
また、そもそも貸し手としての責任などへの配慮についても、今後は必要となってくるのかもしれません。

そのような背景もあってか、元SEC(証券取引委員会)委員長のアーサー・レビットを顧問として招くなど、今後生まれるであろう問題にも布石を打っているようです。

日本は米国ほどには学費は高くないものの、有償・無償を問わず奨学金の問題は、教育機会とのセットでよく語られています。

このような卒業生による融資モデルは、現実的な解の一つといえるのではないでしょうか。

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