米モーニングスター社がHelloWalletを買収

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米国の先鋭的PFMの一つであったHelloWallet社が、米国で投資信託の格付けや投資助言を行うモーニングスター社への買収が昨日発表されました。

HelloWallet社は、2009年に設立された米国の代表的なPFMの一つ。その特徴は、mint.comが収益源をお得な金融商品の仲介・紹介に求めたのとは対照的に、HelloWalletは有料化に求めていた点です。しかし更に特徴的なのは、同社はユーザーではなく、企業に対してサービスを「福利厚生」の一環として販売している点です。

米国ではカード債務や学費ローンなど、10人中、実に9人が何らかのお金に関するストレスを抱えている、と同社は調査しています。更に、老後の蓄えであるIRA(個人退職勘定)や401(k)口座(確定拠出年金口座)から、お金を引き出してしまう人たちも多く、結果として不遇な老後を迎えてしまう人も多い実態があります。そのような未来を自社の従業員が迎えてしまわないよう、「お金のやりくり」をちゃんとできるように、PFMを従業員に使ってもらいましょう、というのが、同社のセールストークになっています。

さらに面白いのは、同社では5アカウントが販売されるごとに、低所得者層に1アカウントを利用可能とする寄付が行われること。様々な慈善団体を通じて、元々ブルッキングス研究所の研究者であったCEOが、米国人の生活向上に向けて創業した会社であることもあって、ベンチャーでありながら、社会派な会社の印象も受けています。研究者上がりのCEOは、一流の学術顧問からなるアドバイザリーボードを置いており、行動ファイナンスの知見に基づく正しい貯蓄週間についても、研究を進めています。

実は筆者が留学中に調査プロジェクトを指導してもらっていた行動ファイナンス学者が同ボードの顧問を務めていたご縁もあって、同社の創業期の頃に色々とヒアリングをしたこともあり、今回このような大きな変化を迎えたことには小さな感慨も覚えています。

一方、買収をすることになったモーニングスターは、世界を代表する個人向け投資助言会社。今回の買収により、HelloWalletが行ってきた行動心理学なソリューションと、モーニングスター社が築き上げてきた投資に関する様々な投資分析のソリューションが、どのような化学反応を起こしていくのか。今後とも、その展開を楽しみにしたいと思います。

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